リノベオブザイヤー’21ノミネート作品③
2022年02月18日
リノベーションオブザイヤー2021ノミネート作品③
「違いが分かる”成熟した”大人のネクストステージの暮らし」
2月4日掲載のブログから全4回にわたって、リノベーションオブザイヤー2021ノミネート作品から注目の事例をピックアップしてご紹介しております!
3回目は「違いが分かる”成熟した”大人のネクストステージの暮らし」
精神的充足に重心を置いたコンセプト、圧倒的に高い完成度の空間、街への繋がりを意識した素材選びなど、見所満載の事例です。
ユニークなコンセプト、高い完成度
この事例のコンセプトは「物質的に満たされたアクティブな富裕層」に対して、「精神的な充足を感じる、人を招きたくなる、プライベートな大人の隠れ家や別荘をイメージし、内装は昭和初期の政治家や文士の別荘を現代に作り上げたような、和洋折衷で重厚感がある落ち着いた空間」を提供すること。
コンセプトが明確かつ切り口がユニークです。
写真:リノベーション協議会
ホテルで過ごすような非日常の体験が、日常へと変わる。写真を見ているだけでワクワクするような空間です。
主寝室と洗面室に繋がりをもたせ、主寝室内のウォークインクローゼットや書斎は区切りながらも空間全体を一体に感じられるようガラスパーテーションを採用し、ホテルのような空間を再現しています。
素材選びも特徴的です。
和モダンや北欧デザインをベースに、現代の世界的なデザイントレンドを取り入れ、アフリカや南米の雰囲気を感じる素材やアートなどもポイントで使用しオリジナリティある空間に仕上げています。一つのテイストに縛られることなく、様々な素材やカルチャーをミックスしつつも、どこか統一感がある空間です。
京都ならではの素材選びもされています。
三条通を代表する建物「京都文化博物館」と隣接していることから、その外観に近いタイルを洗面所や玄関の床に採用しています。また、床材はパーケットフローリングを採用し、以前の住戸の内装を再現。歴史的建造物が残る街並みや以前の住戸の情緒を取り入れることで、どこか昔懐かしさも感じる暖かい空間に仕上がっています。
写真:リノベーション協議会
白い壁にコンクリ―トむき出しの天井、インテリアは最小限にシンプルにまとめるというミニマリズムの美意識。そして様々な素材の組み合わせや色使いを愉しむマキシマリズムの美意識……
この事例は、まさに”成熟した大人”によく似合う空間となっています。
文明は物質文化の暴飲暴食と粛清を絶え間なく繰り返す。ニュースレター『Town and Country』で、著者のカイル・チャイカは、この10年の間にインテリアはミニマリズムの美意識に支配されていたが、2020年代はマキシマリズムの時代になるのではないかと述べています。
まさにこの事例は、そんなムードの機微をよく捉えているのではないでしょうか。
写真:リノベーション協議会
次回もお楽しみに♪