既存不適格建築物は買っていいのか
2021年08月27日
既存不適格建築物は買っていいのか
既存不適格建築物は悲観視しなくてもいい
中古マンションをみていくと、既存不適格建築物という言葉を目にすることがあります。不適格という言葉ゆえ、よくわからないけど悪いイメージを抱いてしまう方もいるのではないでしょうか。今回は、名前でちょっと損をしている「既存不適格建築物」をテーマにお届けします。既存不適格建築物を正しく知り、物件選びにお役立ていただければと思います。
既存不適格物件とは、新築当時は法律を守って建てられていたものの、現在の法律の基準には適合していない建物のことをいいます。最初から違法に建てられている違法建築物とは違い、立派な合法建築物です。とはいえやっぱり「不適格」とついている以上、心配ですよね。具体的に何がデメリットになるのかみていきましょう。
「建替え」か「修繕」か
建替えがしにくい
既存不適格建築は、現在の法律の基準を満たしていないため、建替えの際にはその時の法律に合わせて建てる必要があります。多くの場合、今より建物規模が小さくなったり建築コストが高くなる傾向に。そうなると、やっぱり建替えの話で揉めやすい。わざわざ不利益を被ってまで建替えはしたくない方が大多数で、建替え決議が進まない可能性があります。
管理状態良好な物件を選ぶ
建替えが難しければ、定期的な修繕をしていく必要があります。コスト面から建替えよりも修繕に重点を置く中古マンションがほとんどです。国内のマンション建替え事例は数えるほどしかありません。よって、定期的に修繕がされているか、今後の修繕の計画はあるか、修繕がまかなえるだけの修繕積立金が貯まっているかどうかが見極めポイントになります。
担保評価が低い傾向に
ローンが借りにくい
もう一つ避けては通れないのが、担保価値がつきにくいという問題です。銀行によりますが、既存不適格建築物は担保評価が低くみられる傾向にあります。ローンが通りにくいのです。なぜ通りにくいかというと、築年数が古い物件が多いのに加え、前述の通り建替えがしにくいから。現行の建築基準を満たしている物件に比べ、担保価値は低くなります。
早めにローン事前審査をする
よって、検討物件が既存不適格の場合、早めのローン審査をオススメします。ここで物件価格満額の承認が下りれば、担保価値は認められたといっても良いので、そこまで悲観視する必要はありません。先日、ある業者さんのお客様も既存不適格建築の中古マンションを買われましたが、物件価格の満額+リノベーション工事1000万円を上乗せしても融資の承認が下りたようです。
管理状態と担保価値を見極めよう
既存不適格建築だから一概に避けるべきともいえません。管理状態がよく、しっかり修繕がされていて、銀行の担保価値もつくのであれば十分に検討に入れて頂いていいのが既存不適格建築物です。もしも物件選定を進めていって既存不適格建築物に出会った場合は、「管理状態」と「担保価値」の2つをしっかり見極めるようにしましょう。