修繕積立金のガイドラインが改定

2021年11月26日

修繕積立金のガイドラインが改定

修繕積立金のガイドラインが改定

 

中古マンション購入の際、忘れていけないのが管理状態の見極めです。見極めをする上で大切なことのひとつが、修繕積立金が十分に貯まっているのかどうかです。アイワ不動産では過去にも「修繕積立金の適正額」について記事で修繕積立金についてお伝えしていました。その記事を要約しておさらいしてみましょう。

 

・修繕積立金には適正額がある

・月々の修繕積立金の適正額は1㎡あたり200円

・適正額より高すぎてもダメだし、安すぎてもダメ

 

ここで述べている金額の目安は、当時の国土交通省のガイドラインをもとにご紹介していますが、2021年9月末にこのガイドラインが改定されるということが国土交通省より発表されました。目安となる修繕積立金の㎡単価が更新され、ガイドラインの対象が新築マンション購入者だけでなく、既存マンションの所有者や購入者にも拡大されました。

 

ガイドライン改定の背景には、全国のマンションで修繕のための工事費が不足しているという問題があります。経年とともに外壁だけでなく、給排水管やエレベーター、機械式駐車場などの大がかりな修繕工事が発生しますが、2回目、3回目の大規模修繕工事に向けた修繕計画の見直しがされていないゆえ、工事費が足りなくなるのです。

 

工事費が足りなくなると、そこに住む人にとってはマイナスしかありません。修繕積立金が急に倍くらいに値上がりしたり、一時徴収金が発生したり、修繕工事がどんどん後ろ倒しにされたりということが起きかねません。中古マンションの購入をご検討されている方は是非一読しておきたい内容となっています。

 

改定のポイントである「目安となる修繕積立金の㎡単価が更新」についてみていきましょう。この目安となる金額は下記を前提として算出されています。

 

・居住用のマンション

・長期修繕計画作成ガイドラインに沿って作られた長期修繕計画366事例から分析

・均等に積み立てた場合の㎡あたりの月額単価

 

具体的な金額を見てみましょう。まずは以前の記事でも参考にしていた改定前のガイドラインの金額(表①)です。延べ床面積5,000~10,000㎡未満の中規模のマンションの場合、平均値は202円です。よって、修繕積立金の月額はおよそ14,000円が目安ということになります。20階以上の場合も206円と差は少なく、月額は14,000円程です。

 

修繕積立金のガイドラインが改定1

表① 参考:国土交通省(現行)

 

次に改定後(表②)をみてみましょう。先ほどの例と同じく、5,000㎡~10,000㎡未満の中規模マンションの場合、平均値は252円になり、㎡あたり50円上がっています。70㎡だと月々3,500円の値上げとなります。20階以上の高層マンションの場合、平均値は206円から338円になり、㎡あたり132円の値上げ。70㎡換算でおよそ月1万円の値上げです。

 

修繕積立金のガイドラインが改定2

表② 参考:国土交通省(改定後)

 

㎡あたりは数十円、数百円でも実際の広さに換算し、数十年も住むことを想定すると家計へのインパクトは大きいです。中古マンション購入の際にはローンの支払いだけでなく、修繕積立金の値上げを予め想定したうえで、資金に問題がないかどうかを必ず検討してから購入の判断をしていただくことをオススメいたします。

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