中古物件のアスベストに要注意
2021年10月08日
中古物件のアスベストに要注意
石綿(アスベスト)とは、天然の繊維状鉱物で、「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。アスベストの繊維は、肺繊維症、中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています。2019年にはアスベストによる年間死者数の推計が初めて2万人を超え、世間からの関心が高まっています。
当然のことながら現在ではアスベストを含む製品の製造・輸入・使用は禁止されています。しかし、労働安全衛生法施行令により、2006(平成18)年9月にアスベストの製造・使用等が全面的に禁止されるまでは一般的に利用されていました。よって、2006年以前に建てられた多くの建築物にはアスベストが含まれている可能性が高いといえます。
2021年4月から「事前調査」が義務化
2006年以前に建てられたマンションに住んでいてリフォームを行う場合や、中古マンションを購入してリノベーションを行う場合は、発注者として施行業者(リフォーム会社や工務店)に一定の配慮をすることが義務化されます。工事費用や工期に余裕をももたせることや、作業報告のための写真撮影を許可する等の配慮が求められています。
施工業者は、工事対象となる全ての部材について、石綿が含まれているかを事前に設計図書などの文書と目視で調査する事前調査が義務付けられます。また、調査結果の記録は3年間保存する必要があります。ただし、着工日が平成18年9月1日以降であることの確認がとれれば、事前調査の必要はありません。
もしもアスベストが発見されたら
事前調査によりアスベストが発見された場合、除去する必要があります。除去の方法には3つあります。
①除去
該当する吹付け材、保温剤をすべて撤去します。撤去費用約150万円~(面積や立地、除去素材、諸条件により変動します)
②封じ込め
吹付け石綿の表面に固化材を吹付け、塗膜を形成し結合力を強化し、発塵を防止する工法です。撤去費用約150万円~(面積や立地、除去素材、諸条件により変動します)
③囲い込み
当該仕上げの天井・壁等を、非石綿建材で覆う事により、石綿粉塵を室内等に発散させない工法です。費用約100万円~(面積や立地、諸条件により変動します)
このように、アスベスト除去により通常の工事に加えて費用が発生し、工期も伸びることが確実です。新築と比べて価格面や立地でメリットが大きい中古物件ですが、アスベストが含まれている物件である可能性もゼロではありません。法改正を踏まえ、慎重な物件選びをしていくことが大切です。
■参考HP