旧耐震基準は震度6の揺れを想定していない

2022年07月08日

旧耐震基準は震度6以上の揺れを想定していない

旧耐震基準は震度6以上の揺れを想定していない

 

 

今後30年以内に大地震が発生する確率は70%

現在、日本各地で大きな地震が続いています。

 

石川県では、6月19日に震度6弱、翌20日には震度5強の揺れを観測。熊本県では、6月26日に震度5弱が観測されました。

 

内閣府によると、今後もこのような大きな揺れと津波が想定される地震、具体的には南海トラフ地震と首都直下地震は、今後30年以内に発生する確率が70%と予想されています。

 

そうなると心配になるのが、建物の耐震性です。築30年、40年を超える物件の耐震性はどれほどのものなのでしょうか。

 

もう少し具体的に言うと「大地震がきたときに、倒壊しないか」これが気になるところです。

 

イメージではなく、事実と数字をもとに考えていきましょう。

 

 

旧耐震と新耐震の違い

まず、前提になるのが耐震基準です。

 

耐震基準には、大きく分けて2種類あります。旧耐震基準と、新耐震基準です。

 

旧耐震基準は、1950年から1981年5月まで30年にわたって運用された耐震基準です。10年に一度発生すると考えられる中規模の地震(震度5強程度)で家屋が倒壊・崩壊しないことが基準とされています。よって震度5強より強い地震は想定されていません。

 

新耐震基準は1981年6月から施行されました。中規模の地震(震度5強程度)で、家屋がほとんど損傷しないこと、大規模の地震(震度6強〜7程度)で、家屋が倒壊・崩壊しないことが基準とされました。これは1978年に発生した宮城県沖地震による甚大な被害をうけてのことです。

 

ここから分かることは、旧耐震基準であっても震度5強で倒壊・崩壊しないような基準を満たしていることです。石川県で6月19日に発生した震度5強の地震の被害状況を調べてみると、住居の被害は、地震発生後1週間以上経過した6月28日時点でも確認されていません。震度5程度の地震であれば、旧耐震基準であっても耐えられるケースがほとんどです。

 

出典:石川県災害対策本部

令和04年06月19日_能登地方を震源とする地震について(第17報 令和04年06月28日)(PDF:237KB)

 

 

ここで気になるのが、震度6以上の地震が発生したときです。

 

震度6以上の地震は、どれくらいの頻度で発生しているのでしょうか。

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災以降の震度6以上の地震を調べたところ、東日本大震災を含めて「29回」です。1年に少なくとも2回以上は震度6以上の地震が発生していることになります。※2022年7月8日時点

出典:気象庁震度データベース

 

 

震度6以上の地震は、旧耐震基準は想定されていません。想定されていないような大きな地震が年間2回以上も発生しているのです。

 

更に、おそらく震度6以上の大きな揺れが想定される南海トラフ地震と首都直下地震が30年以内に起きる確率は70%です。

 

これは、築40年を超える旧耐震の物件を検討される方にとっては、知っておくべき事実なのです。

 

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