和モダンと暮らす-書-
2022年06月24日
和モダンと暮らす-書-
4週に渡って「和モダン」についてお送り致しましたが、今週で最後となります!
google本社には、メンタルケアのプログラムがあるそうです。そこでは「ジャーナリング」といって、あるテーマについて決まった時間だけずっと手で書き続けるというものがあります。書く瞑想ともいわれ、メンタルヘルスに効果があるようです。
「デジタルを牽引する最先端企業が手書き?」と思われるかもしれませんが、今日世界中で「手で書くこと」が見直されているのです。
最後のテーマは「書」です。
書がある暮らし
写経や美文字ブーム、新しい感性を持った若手書道家の台頭。そんな時代の影響か、書道を始める大人が増えているようです。
書道の魅力を一言で凝縮するなら、「自分と向き合うことができる芸術」です。
目まぐるしく移り変わる世の中では、じっくりと筆先に集中し、思いのままに筆を動かす時間そのものに価値があるように感じます。
書家の大溪洗耳氏は、書道を「自己顕示欲の現れでもあり、自分を見つめるよき機会」と表現しました。
書道は、人間の弱さや貪欲さまでをもさらけ出してしまいます。ストレスのかかる出来事は生きている限り避けられません。ただ、出来事の捉え方は変えられる。
書によって、今の自分に向き合い、感情を正しく認識する力がつくのかもしれません。
真っ白な紙に筆をおろす。緊張の一瞬です。
筆先に意識を集中して、とめる、はねる。
書家によると、やはり心が揺れている時は筆にあらわれるそうです。それでも繰り返していくことで、目標とする字に近づいてくる。
「自分を見つめる最適な方法であり、同時に自分を見せつけられる修行の場」とは、書道の腕前が凄いと評判の俳優松村雄基さん。
書を楽しむためには、自分と向き合うためには、どんな空間が必要なのでしょうか。
ジャーナリングしかり、書道しかり、やはり一人になれる空間が必要になります。
例えば書斎。完全に独立していなくとも、リビングの一角に少しこもれるスペースがあると良いでしょう。
リラックスして、集中できる場所。こぢんまりした空間であれば、なお良しです。
書が似合うのはやはり和の空間。
畳や障子、塗り壁など、伝統的な素材を使いつつも、現代的なデザインのものを採用。置くものは極力少なくしてミニマルに。そうすれば、このような洗練された和モダン空間が出来上がります。生けられた花がアクセントになっています。
落ち着いた旅館のような趣で、日記を書いたり、筆をとりたくなる空間です。
自分と向き合うこと。そのために、いま・ここに集中する時間をつくること。
精神的に一人になれる空間を持つこと。これらは繋がっています。
これが空間に合わせて住むのではなく、暮らしに合わせて住まいをつくる発想。忙しい日常を過ごしているなら、ぜひ試してみませんか。
きっと何か家づくりにもつながる発見があるはずです。
4週に渡って「和モダン」についてお送りしてきました。
お茶、花、書。誰もが一度は触れたことがあるはずです。手軽に行うことができる一方で、奥が深い世界でもあります。
現代の建築にも多大なる影響を及ぼしている日本文化です。
これらに触れることで、きっと生活への美意識が高まり、家づくりや家選びの際のヒントになります。
大人の嗜みとして、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。