【2023年1月版】住宅ローンの最新動向
2023年02月03日
【2023年1月版】事実上の利上げ?住宅ローンの最新動向
日銀は2022年12月20日に行われた金融政策決定会合で、金融緩和政策の修正を決めました。
具体的には、長期金利の変動幅をプラスマイナス0.25%から0.50%へと拡大するというもの。
会見で黒田総裁は「金融緩和の効果をより円滑にするためのもので、利上げではない」と強調しました。
この発言とは裏腹に、市場では事実上の利上げだと受け止める見方が大半です。
変動幅はプラスマイナスと上下に幅がとられているものの、政策修正の発表後に長期金利(10年国債)はプラス0.50%付近へと上昇。
発表から1ヶ月経過した1月27日時点でも0.46%(10年国債)で取引されており、修正以前のプラスマイナス0.25%を超える水準が続いています。
発表直後の影響は
今回の日銀の決定により、早速影響が出始めているのが住宅ローンです。
住宅ローンは大きく「固定金利」と「変動金利」に分けられますが、選ぶ金利によって影響度合いが異なります。
政策発表から1か月間の動きをみてみると「固定金利は上がり、変動金利は下がる」という傾向が見られます。
影響が大きかったのは固定金利です。
住宅ローンの固定金利は、長期金利(10年国債金利)を参考に決定されています。日銀の発表後、10年国債はすぐに上限0.5%に到達。これを受けて大手銀行は2023年1月から適用する住宅ローンの固定金利の引き上げを発表しました。
「10年固定」の上げ幅は大手5行平均で0.24%―「全期間固定」上昇傾向にあります。
一方で、変動金利は下落傾向にあります。
変動金利の指標となるのは短期金利で、短期金利は今回政策修正の対象になっていません。加えて、1月から3月は住宅購入の繁忙期を迎えることもあり、各銀行は期間限定で金利を下げるなどのキャンペーンを打ち出しながら顧客獲得に動いています。
このような背景もあり、変動金利は下落傾向にあります。
現時点では固定金利に影響が出ているため、これから住宅購入を検討する多くの方が変動金利に傾くことが想定されます。しかし、変動金利は物価の上昇の影響を受けるため、金利上昇の可能性は十分あり得ます。
また、2016年から続いているマイナス金利政策を修正する可能性も否定できません。
よって金利上昇も頭に入れて選択する必要があります。
今こそ無理のない資金計画を
今後は、既に住宅ローンを借りている人も新しく借入する人も、市場動向(金利や日銀の動き)に注目する必要があるでしょう。
しかし、将来の金利上昇を予測することはプロでも難しいです。
そのため、様々なリスクを考慮したうえで「借入できる額」ではなく「無理なく返せる額」を慎重に検討することがより重要になるでしょう。